第4問 問1
満期が3カ月後のTOPIX先物の現在における理論価格を求めなさい。なお、答えは小数第1位まで示すこと。
■答え:
配当金が無視できるため、TOPIXの現在値をリスクフリーレート分増加させた値が理論価格となる。
よって、1400×(1+0.004×0.25)=1401.4ポイント
第4問 問2
満期が3カ月後のTOPIX先物を売建てて、ヘッジ後保有ポートフォリオの3カ月後の価値変動の分散を最小化したい場合、TOPIX先物を何単位売却すれば
よいですか。なお、答えは小数点以下を四捨五入して整数で示すこと。ただし、TOPIX先物の取引単位はTOPIX指数×10,000円とする。
最適ヘッジ先物契約枚数
ヘッジ後の全体のポジションの損益の分散で測った変動リスクを最小とするヘッジを最適ヘッジと呼び、最適ヘッジ
先物契約枚数は下記式で算出できる。
最適ヘッジ先物契約枚数
|
= -
|
1 n |
×βP
|
V0 S0 |
×
|
1 1+(r-δ)(T-t) |
n・・・取引単位
βP・・・ポートフォリオの株価指数に対するベータ値
V0・・・保有ポートフォリオ時価
S0・・・現物価格
r・・・リスクフリーレート
δ・・・配当利回り
T・・・満期までの期間(年)
t・・・ヘッジ対象期間(年)
■答え:上記の最適ヘッジ先物契約枚数の公式に当てはめると
最適ヘッジ先物契約枚数
|
= -
|
1 10000 |
×1.2
|
10000000000 1400 |
×
|
1 1+(0.004-0)(0.25-0.25) |
= -857.14
|
よって、857枚売却すればよいことがわかる。
第4問 問3
3カ月後にTOPIXが大きく下落した場合、問2のTOPIX先物売却によるヘッジを行っていたにもかかわらず、ヘッジ後のポートフォリオが損失を
被る可能性がある。その主な理由として考えられるものを1つ述べなさい。
■答え:ポートフォリオの構成銘柄数が30と少ないため、TOPIXの値動きに連動しない部分が一部あり、これにより
TOPIX先物の売りポディションでは構成銘柄の一部分がヘッジされなかったため。
第4問 問4
図表2で権利行使価格1300ポイントのプットオプションの理論価格を求めなさい。なお、答えは小数第一位まで示すこと。
プット・コールパリティ
原資産価格はオプションの価格から下記のように表せる。
コールの価格-プットの価格+行使価格/1+r = 原資産価格
※ただし、rはオプション満期までの間の無リスク金利(年率換算せず)である。
プット・コールパリティの詳細な解説は下記参照。
■答え:
権利行使価格1300ポイントのプットオプションの理論価格をXとすると、
119 - X + 1300/(1+0.004×0.25)=1400 となり、
X=17.7となる。
第4問 問5
TOPIXが10ポイント下落した場合、図表2で権利行使価格1400ポイントのプットオプションの価格はいくらになるか、デルタを用いて求めなさい。
なお、呼値の単位は無視し、小数第一位まで示すこと。
デルタ
オプション価格の式を原資産価格で微分したものであり、原資産の価格変化に対するオプション価格変化を表す
■答え:権利行使価格1400ポイントのプットオプションのデルタは-0.48であるため、価格変動は原資産価格の変化(-10)×デルタ(-0.48)=4.8
なので、55.0+4.8=59.8ポイントとなる
第4問 問6
図表2の4つのオプションのうち、TOPIXの変化にともなうデルタの変化幅が最も大きいものを特定し、その理由を述べなさい。
ガンマ
オプション価格の式を原資産価格で2階微分したものであり、原資産の価格変化に対するデルタの変化を表す
■答え:権利行使価格1400ポイントのプットオプション
理由:TOPIXの変化に伴うオプションのデルタの変化はガンマで表されるため、ガンマが一番大きいオプションがTOPIXの変化にともなう
デルタの変化幅が最も大きくなるため。
第4問 問7
TOPIX先物を用いたダイナミック・ヘッジングにより、図表2のプットオプションの購入と同様のヘッジ効果を目指しても、3カ月後の損益
はプットオプションを購入した場合とは乖離していることが考えられる。その主な理由を2つ簡潔に述べなさい。
ダイナミック・ヘッジング(デルタ・ヘッジ)
実際のオプション価格の変動を、先物などを用いてデルタをあわせることによってヘッジすること。
■答え:
・実際には、連続的なヘッジ・ポジション調整ができないので、先物を利用した合成ポディションとオプションの
デルタをあわせることができないため。
・先物による最適なヘッジ・ポディションを維持するための売買コストがかさんでしまうため。
第4問 問8
あるニュースが市場で流れた結果、TOPIXの水準はほとんど変わらないにもかかわらず、図表2の4つのオプションの価格がいずれも大きく
上昇した。このような変化が起きたのは、このニュースによって市場参加者の予想がどのように変化したためと考えられるのか、その主な
理由を1つ述べなさい。
オプションの価格変動要因
| コールの価値 | プットの価値 |
原資産価格の上昇 | 上昇 | 低下 |
ボラティリティの上昇 | 上昇 | 上昇 |
時間の経過 | 低下 | 低下 |
金利水準の上昇 | 上昇 | 低下 |
■答え:ニュースによりTOPIXのボラティリティがあがることが予想されたため、オプション価格が上昇した。