A社の会計処理に関する以下の問いに答えなさい。A社の決算日は3月31日である。
なお、計算問題の答えは四捨五入して千円単位で示すこと。

第8問 問1

(1)A社が支払うリース料総額の現在価値はいくらですか。

■答え:リース期間は5年であり、年額37,200千円の支払いで、追加借入利子率は年6%とある。
よって、372000/1.06^1+37200/1.06^2+37200/1.06^3+37200/1.06^4+37200/1.06^5=156699.93
よって、156700千円

(2)20x1連結会計年度のリース資産の減価償却費はいくらですか。

■答え:20x1年度の減却償却費を求めるには(A)20x1年4月1日のリース資産の取得原価、(B)耐用年数,(C)残存価額が わからなければならない。

まず、(A)の取得原価を求める。取得原価の算出基準は下記のとおり。

問題文より、所有権移転外であり、かつ、リース会社の購入価額が不明であるため、a.リース料総額の割引現在価値(156,700千円)と b.見積現金購入価額等(160,000千円)の低い方を採用する。よって、取得原価は156,700千円となる。

次に、(B)耐用年数であるが、所有権移転のファイナンス・リース取引では、リース物件の経済的耐用年数を使用し、 所有権移転外のファイナンス・リース取引では、リース期間を採用する。よって、(B)耐用年数は5年となる。

最後に、(C)残存価額は所有権移転外ファイナンス・リース取引であるため、0円となる。

よって、定額法で処理するため、減価償却費=取得原価/耐用年数 = 156,700千円/5年 = 31,340千円となる。

(3)20x1連結会計年度のリース資産の減価償却費はいくらですか。

■答え:20x1年度のリース費用総額は、減価償却費+支払利息である。
支払利息 = 期首債務(156,700千円)×割引率(6%) = 9,402千円である。
よって、リース費用総額は、31,340千円+9,402千円 = 40,742千円

第8問 問2

(1)A社の20x1連結会計年度の勤務費用はいくらですか。

■答え:設問より、勤務費用は期間定額基準により算定するとあるため、退職給付見込額(10,500千円)を 5年で割り、それを割引率(3%)を用いて、現在価値に直して算出を行う。
10,500千円÷5=2,100千円
20x1年度の決算日から4年後に退職金を払うため、4年分の割引率で割引いて、2100千円/(1.03^4)=1865.82千円
よって、20x1年度の勤務費用は、1866千円となる。

(2)20x2連結会計年度の利息費用はいくらですか。

利息費用とは、割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までに時の経過に より発生する計算上の利息。
■答え:20x2年度の利息費用ということは20x1年度末から20x2年度末までの利息費用を求めればよい。20x1年度末の 勤務費用は1866千円であり、これに1年分の割引率(3%)をかけて、1866千円×0.03=55.98千円
よって、20x2年度の利息費用は56千円となる。


(3)20x2連結会計年度の退職給付費用はいくらですか。

退職給付費用とは、将来の退職給付のうち当期の負担に属する金額のことである。
退職給付費用 = 勤務費用 + 利息費用 - 期待運用収益
■答え:(A)勤務費用、(B)利息費用、(C)期待運用収益をそれぞれ求める。
(A)は20x2年度の勤務費用は2,100千円/1.03^3=1921.79千円

(B)は問2より56千円

(C)は、20x2年度期首には年金資産は1900千円であるため、これに長期期待運用収益率(5%)をかけて、 1900千円×0.05=95千円

よって、退職給付費用 = 1922千円+56千円-95千円 = 1833千円

(4)20x3連結会計年度に年金資産の期待運用収益と実際の運用成果に差異が生じている。この差異の会計処理方法が、 わが国の退職給付会計基準(日本基準)と国際財務報告基準(IFRS)では異なっているが、それぞれどのような 処理が求められているのか説明しなさい。

■答え:
日本基準:平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に当期純利益に計上し、当期純利益に計上されない差異を「その他の包括利益」に 計上する。
IFRS:発生した差異を一括して「その他の包括利益」に計上する。

inserted by FC2 system